「子ども読書の日」に因んで
図書館長 大﨑 素史
学生・院生の皆様、ご入学・ご進級、大変におめでとうございます。
春、万物がその内に秘めたる力を実現するこの時に当たり、“学生第一”の大学づくりに向けて、教員・職員・学生が一体となった本学の充実と発展に貢献したい、と決意を新たにしております。
大学の任務とは直接的には関わらないが、大学からみれば間接的・長期的に極めて重要な国民・住民的課題の一つになっている、いわゆる“子どもの読書活動の推進”について、紹介し、考えていることを若干述べさせていただきます。
2001年(平成13年)12月、「子どもの読書活動の推進に関する法律」が公布・施行され、「子ども読書の日」を4月23日として、子どもの読書活動を推進していくことが国を挙げて決意されました(この法律でいう「子ども」とは、「おおむね18歳以下の者」である)。
まず、この法律がなぜ制定されたのか、調べ、考えていただきたいのですが、 私見をいえば、子どもの健全な発達を願い、子どもの健全な情操と教養と世界観を養う上で、読書の効用が必須であるとの国民的認識が結集した結果であると思います。他面からみれば、子どもたちが本を読まなくなっているという厳しい現実があると思われます。否むしろ、それ故の措置のように思われます。
次に、4月23日とされたのは何故か、という点です。
直接的には、1995年ユネスコでこの日を「世界本の日」としたことによる意義をわが国の国会が評価したからであるといわれています。それでは、何故4月23日なのか。それは、スペイン・カタルーニャ地方の伝統的な祝祭日「サン・ジョルディの日」から来ているのだそうです。では、その謂われは何か、ですが、これ以上の紹介は省略し、後は皆様の研究に期待いたします。
インターネットで調べると、全国都道府県・市町村でこの日に関するイベントが早速展開中であることが分かります。読み聞かせ、紙芝居、ビデオ上映、シンポジウム、貸し出し冊数制限の期間解除、読書感想発表大会、等々です。期間は4月23日をはさんでの1週間や4月23日から5月連休明けまでが多い。これほどまでの活動の展開に思っていた以上に驚きました。
本学は特に教職志望者の割合が高く、4人に1人の割で教職登録している状況です。教職就職率も大変高くなっています。本年度からは学校インターンシップが二年次からも履修できるようになりました。しかし、子どもの環境としての学校や家庭・地域社会の現実には眉をひそめざるを得ないようなことが少なくありません。その解決力ともいえる実力を学生時代の今こそコツコツと身につけていくことが学生生活の大きなねらいの一つでありましょう。
つまり、上述のような全国の読書運動の展開に敏感になるとともに、将来、学校を中心とした読書の大きな展開の中に自分が入っていくというよりも、自分が読書の展開をやっていこうとの考え方が大事ではないかと思うのです。そのためには、自分が本をよく読んでおくこと、に尽きるのではないでしょうか。
創立者は、昨年1月22日(木)、中央図書館を訪れ、勉学や読書にいそしむ学生たちを激励しました。その時「図書館は大学の心臓部」であると語り、「学生第一」で一層の充実をと望みました。創価大学は全国の私立総合大学のなかで「学生一人あたりの蔵書冊数」が全国第4位(日本図書館協会の調査)です。このように恵まれた環境を有意義に利用すべきです。
現在、本学の図書館も電子化への対応を推進する等々の新機軸を展開しています。学生にとってはデータベースの活用等も必要です。とはいえ、今回は原点ともいうべき読書について、年度はじめのご挨拶の意味もこめて、述べさせていただきました。どうか大いなる読書への挑戦をしましょう。
この4月から9月まで、全学的に大読書運動が展開されます!